競馬のような勝負事をしている時は、絶対に「途中で唄うな」という戒めの言葉があります。
「唄う」というのは、「勝ったも同然」といったような緊張感のとれた気持ちに
なったり、そういう発言をしたりすることです。
勝負事は下駄をはくまでわかりません。
麻雀ならオーラスが終了するまで、ゴルフなら18番ホールのパットが沈むまで、何が起きても不思議ではありません。
「ツキの女神には前髪しかない」
といわれるように、乗り出すきっかけも重要ですが、ほんのちょっとしたこと
で途中からの「流れ」を悪くした場合、最終的な結果に致命的な影響を与えてしまいます。
一度外した「流れ」を戻すことは容易ではなく、取り返すのには数倍以上の労力が必要となります。
ファンの方には古傷を思い出させて恐縮ですが、1989年のプロ野球日本シリーズで3連勝したあと、近鉄のある投手が、「ジャイアンツ、大したことない」と〝唄って〟しまい、その後「流れ」を戻すことができずに4連敗してしまった事例が典型的です。
競馬でも、ゴール板を過ぎるまでは何が起きるかわかりません。
私が興醒めするのは、3コーナー手前から、
「そのままぁ〜!」
と大声を出している人と同じ馬を、自分が購入している場合です。
まだ早いってば……。
残り2Fのハロン棒を過ぎて、まだなんとかゴールまで脚が上がらない状態の皐月賞キャプテントゥーレに対して、満を持して、初めて、
「将雅、そのままぁ〜!」
ですよ。
(って、随分と古い話しですいません。
今や、押しも押されもしない川田将雅騎手ですが、この時は、まだ若手で、正直なところ大丈夫かなと心配でした。)
スタート前から「大知ぃ〜!」って応援しちゃう人いますけど、注目されると逃げ馬はヤバイですよ。(
もちろんレースの中の騎手には聞こえませんけど)
ひっそりと息を潜めておいて、直線に入ってゴール前200メートル。
後続の騎手が「しもぉたぁ〜!」ってなるから、力が劣る人気薄の馬が、好走できるのです。
勝負事は〝超謙虚〟でないと、勝利の女神様から嫌われてしまいます。
勝負事で唄うことは禁物です。
ギャンブルや投資であれ、人生であれ、この戒めは肝に銘じておきたいものです。