中長距離レースでの展開予想は短距離とは若干異なってきます。
予想する際に重要な要素は、「人気馬」との関連性ということになります。
騎手もそのレースでの人気馬、つまり勝つ確率が高い馬をマークしながらの騎乗になるわけで、人気になっている馬が先に行くのであれば前々に、逆に差し馬タイプであれば後ろめに重心が移ります。
この心理的な要素、つまり道中での駆け引きが、短距離レースよりも大きく影響してきます。
関係者の思惑が、レース展開に反映する度合いが高まります。
ですから、新聞に記載されている「厩舎サイドのコメント」はしっかりとチェックする必要があります。
中長距離の展開を考える時は、短距離の予想の時以上に、各馬のおかれている思惑絡みで推理していくことになります。
例えば、「ハナを叩かせる」というコメントがあれば、無理にでもハナを奪おうとして自らも潰れるでしょうが、他の逃げ馬候補にとってもかなりキツイ展開になることが予想できます。
逆に、「今回は控えてみます」とあれば、別の人気薄逃げ馬にとっては千載一遇のチャンスになるかもしれません。
もっとも、よくある例で「なんとしても逃げてもらう」「今回はハナを切らせる」というような厩舎サイドの〝希望的な要望〟はほとんど実現しませんので、真に受けてはいけません。
また、「今回は調教内容もいいし、相手関係からも勝てるでしょう!」
なんていうのも、誰だって身びいきはありますし、馬主などへのリップサービスということもありますので要注意です。
ところで、中長距離、特に長距離における「レース展開」の重要性が増してきているように感じます。
なぜこうなるのか考えてみますと、現代競馬では2400メートルを超えるレースに強い、真のステイヤーが少なくなっていることが影響しているためだと思います。
かつては、「長距離馬が一流で、短距離馬は二流」などという風潮の時代があり、タケホープやメジロマックイーンといった強いステイヤーがいました。
しかし、今では短・中距離へと主流が短縮化しています。
道中での折り合いはどのレースでも重要ですが、2400メートルを超える長距離を走る時には、より専念せざるを得ない状況が起こります。
従って、ペースがスローに流れて前が有利だなと感じても、動くに動けないケースが多くなっているようです。
加えて、差されることを嫌う風潮にあるのも、我々にとっては好都合のようです。
騎手心理として、脚がなくなった馬にまたがっている数秒は、我々には想像できないほど苦痛なことのようです。
また、とある競馬サークルでも、最後に脚を余した方が(もちろん程度はあるでしょうが)次走への期待値が高まり評価される、という話も小耳にはさんだことがあります。
ということであれば、ますます「逃げ・先行馬」狙いの馬券術は使えることになりそうです。
つまり、まだまだ〝おいしい馬券〟にありつける可能性は十分あるということです。
但し、前評判があまりに先行馬有利と出た時は要注意です。
話題の露出度が高まるほど期待は薄くなります。騎手も意識しますので、簡単には先行させてくれません。
騎手心理から、往々にして真逆の展開になることがあるのです。
元々、我々が狙う馬は、人気の盲点となっている場合を除けば、馬の実力が不足しているわけです。
その力の不足分を補うためには、他の騎手から無視されて、少しでも有利なレース展開に持ち込む必要があるのです。
世間のほとぼりが冷めるまで〝静かに〟辛抱強く待ち続けましょう。
「自分だけが予想するレース展開」こそが、勝利をもたらしてくれるのです。
必ずビッグチャンスが訪れます。
歴史は繰り返すのです。