レース展開を考える前に、穴馬券の重要なキーワードとなる「馬場」と「枠順」について触れておきましょう。
まず前提となる事柄について整理しておくと、ひと口に「馬場」といっても、
①馬場の状態(軽い〜重い)
②馬場のコース形態
と論点は大きく二つに分かれます。
①の「馬場状態(軽い〜重い)」も、万券ゲットへのアプローチとして超重要なファクターとなるのですが、これについては「血統」や「馬キャラ」という要素と関連性が強くなりますので、そちらでお話しします。
②の「馬場のコース形態」は、もう一つのキーワード「枠順」と密接なつながりがありますので、二つの要素を合わせて考えていくことにしましょう。
競馬場のコースというのは、新潟の10M戦以外は必ずコーナーがあって、500キロ前後の馬がセパレートされていない状態で走ります。
つまり、どう考えても能力だけで優劣が決まる競技ではなく、走る毎に有利・不利が発生するのです。
※もうすっかり有名な話しで、新潟の10M(千直)も、相当に有利・不利が生じています。
だからこそ、我々の工夫次第で、取り分(配当)が増えることになります。そこを再確認しておきましょう。
目次
枠順の有利・不利
まあ、このことは大分広まってきましたが、まだ理解されていない方もいらっしゃるので、超わかりやすい例で説明します。
ただし、完全に親バカ丸出しですので、その点はご容赦願います。
息子の幼稚園での運動会、ここで行われる徒競走は、まさに急カーブの小回りコースです。
最初のコーナーめがけて園児たちが殺到し、すぐに急カーブに入るため内側(インコース)が圧倒的に有利となります。
つまり、内から3番までの枠順(?)を取れるかどうかが勝負の分かれ目なのです。
私は競技の前に、息子に
「順番を決める時、なんとか3番までを取るように」と言いました。
そして迎えた本番、見事3枠(?)になった息子に、さらにこう伝えました。「おまえより脚の速い子が内側にいたら、スタートと同時に内へ切れ込め(実際の競馬では失格の危険性あり)。逆に脚の速い子が外側にいたら外めへ進路をとれ。そしてコーナー(カーブ)では絶対に抜かれないから、焦らず少しセーブしながら走り、4コーナー手前から一気に加速しろ」
まるで実際の模範レース指導みたいですね(笑)
このアドバイス通り(???)に走った息子は見事に快勝。
それで自信がついたのか、小学校では毎年リレーの選手に選ばれるようになりました。
親バカまる出しで失礼いたしましたが、幼稚園児の体ですらこうですから、優に500キロ近くはある馬体同士がぶつかり合って走る競馬では、そりゃあ内めを走るほうが有利に決まっています。
インコースを走れる内めの枠を引いた馬は、最短の距離を走れますし、スローペースで団子状態となれば、外枠の馬との走行距離はかなりの違いが出てきます。
最初のコーナー目がけて突入した時、コーナーワークを利して先に行けるのは、より内側の馬です。
このように、馬券を考える上で重要なことは、枠順(内、中、外)によって有利・不利が発生するということです。
この要素が大きければ大きいほど、弱いと評価されている人気薄、つまり高配当をもたらす「万券ゲット馬」が馬券に絡む可能性が高まることになるのです。
例外となる外枠有利なコース
もちろん何でもかんでも内枠有利というわけではありません。
有名なところでは、中山12Mや府中の16Mのダート戦なんかは、スタート直後に長く芝コースを走れる外枠が有利といわれています。
また、同型馬が揃った時は、内側すぎると包まれて逆に不利になったり、繊細な若い牝馬はストレスの少ない大外枠のほうが有利になったりする場合もあります。
このあたりのことは、微妙なさじ加減が問われる部分でもありますので、そのレース毎に検討を加えることも必要になります。
トラックバイアスと馬券
馬場状態により有利・不利が生じることを「トラックバイアス」といいます。
セイウンスカイが勝った1998年の菊花賞で、2着に敗れたスペシャルウィーク騎乗の武豊騎手が「グリーンベルト」を指摘し、この「トラックバイアス」の論議が活発化しました。
内④番から逃げるセイウンスカイは、このレースのために柵を移動したばかりの芝の上(グリーンベルト)を走ることができ、大外⑰番のスペシャルウィークは、すでにデコボコになっている馬場を走らなければならなかったのです。
確かにこのレースでの有利・不利は、テレビでみていても異常に感じるものでした。
しかし、競馬が賭け事、ギャンブルである以上、こうしたファクターが加わるほうが断然面白いし、穴狙いが基本の我々にとっては、こうしたことで投資効率を上げていく必要があるのです。
気が遠くなるくらいに古い話ですが、当時人気のあった某競馬評論家が、「競馬が健全なスポーツである以上、公正なレース体系であるべき」という主旨の手記を残して引退されました。
しかし、競馬を純粋なスポーツとして楽しめるのは、金持ちの馬主など一部の関係者くらいなものでしょう。
少なくとも、馬券を購入している大多数のファンは、様々なファクターによって、事前に予期しにくい(予期しにくいほど高配当になる)波乱の結果となることを望むと思います。
残念ながら、競馬に「馬券」というものが存在しなかったら、つまり配当金のリターンを期待することができなければ、ここまで繁栄するわけはないのです。
まあ、是々非々論はともかくとして、現実に「枠順」や「馬場」状態などによる有利・不利(=トラックバイアス)が存在するのだということを、肝に銘じておきましょう。
そして、これを上手に使わない手はありません。
そして、最も重要な肝として知っておきたいことが、人気を作るマスコミ系専門紙は、レース結果を左右する「枠順」や「馬場」状態がはっきりする前にダンゴ(予想の印)を打っているという事実です。
しかし、我々は枠順を確認してから投票することができます。
このアドバンテージがあることも、万券ゲットの裏づけになるのです。
内枠が有利になるコース
それでは、内枠が有利になるコースについて考えてみましょう。
結論から述べると、
(A)最初のコーナーまでの距離が短い
(B)コース中でコーナー(カーブ)が占める割合が多い
ということになります。
ほら、幼稚園の運動会の親バカ話と同じですね(笑)
この二つの数値を使って、
有利指数:f(x)=1÷[距離(A)÷平均値(400m)]×1・5(調整指数)+[カーブの占有率(B)÷平均値(44%)]
という具合に理論値化したものを「イン・セン有利指数」と名付けました。
※JRAの主要コースとなる平均値を算出してみると、
◇最初のコーナーまでの距離:約400m
◇コーナー(カーブ)が占める割合:44%
となります。
尚、(A)のファクターの方が(B)より影響すると考え、(A)を1・5倍にてして比重を高くしています。
この数値を大きい順に並べますと、
東京2000メートル,札幌1500メートル,1800メートル,阪神1600メートル
中山2500メートル,1800メートル,京都3000メートル,中山1600メートル
こんな感じになります。
各コースについての詳細は、「内枠有利な万券ゲットコース」を参照にしてください。
ところで、残念なことに、JRAがここ数年、コースを大箱化する馬場の改修を行っています。
中京競馬場なんか、確実に改修前のほうが個性のあるコースで面白かったと思いますが、皆さんはどう思われますか?
万券ゲットの主戦場である中山競馬場だけは、絶対にコース形態が変わらないことを祈っています。
追伸
来年、体規模な改装工事が予定されている京都競馬場が、どう変わってしまうでしょうか?
大箱だけは勘弁してほしいと思っていますが、どうでしょうかねぇ(冷汗)